最近、本格的に雪が振り始めた。
降り積もる雪を眺めながら、僕はBUMP OF CHIKENの「スノースマイル」を思いだす。
その冒頭の歌詞を抜粋。
冬が寒くって本当によかった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットにお招きするための
この上ないほどの理由になるから
これを聴きながらおもむろに僕は、僕の右手を僕の右ポケットにお招きする。
体温は自給自足。
あと、このバンドのボーカルは秋田生まれである。地元は結構近い。
文明から取り残される
僕は免許を取得している。そして実家には車が2台ある。
しかし、いつも誰かが使っているので、僕はほとんど使用することがない。主要都市のように電車が身近にあるわけでもない。そして、唯一の移動手段である1万円で買ったママチャリは、雪が降ってほとんど使用不可能になってしまった。
つまり移動手段は、バスか己の足のみということである。
行動範囲がまるでドラえもんの世界のように狭い。
陰キャを家に閉じ込めようとする謎の圧力を感じる。
右足を踏み込むだけで移動できる鉄の塊を横目に、僕は雨の日も雪の日も2本の足で歩き続けている。最近、股関節が痛い。
ここらで地元の交通事情を説明すると、吉幾三が田舎を「くるまもそれほど走ってねぇ」と歌ったのとは対象的に、田舎の人は地理的にほとんど車で移動する習慣がついているので、道路をみると車に比べて歩いている人が極端に少ない。それもあってか地方のほうが都心に比べて肥満体型になる人が多いのだ。
金銭面からみても、賃金が低いのに、維持費のかかる車が必需品なのはなんとも不合理である。
おらこんな村、いやだ。
雪国からプリズン・ブレイク
こうして自分の状況をあらためて見直してみると、雪国の不便さが身にしみる。なにせ移動手段が小学生のころと変わらないのだ。
原付やバイクもこの季節は危なすぎて使用できない。
こうした状況から脱出したがる人間もたくさんいるだろうと思って、各県の人口減少率を調べてみた。
上位10県のうち、降雪地帯が5県ランクイン。うち4県が東北で、我が秋田県は堂々の1位である。
圧倒的じゃないか、我が軍は
ちなみに、人口に対して65歳以上の人間の比率を表す高齢化率も全国1位である。
全国平均が28%なのに対し秋田県は37%なので、およそ3人に1人が高齢者。順調に推移すると20年後には2人に1人が高齢者になる計算である。
悪い子すら貴重
全国的に有名な秋田の民族行事、なまはげの有名なセリフとして
「わりごはいねがー!」(悪い子はいないかー!)
という文言があるのだが、このままだと悪い子どころか子が消失する。
一部の限界集落においては、60歳でも小僧らしい。
おらこんな村、いやだ。
さっさと家出れば?
そんなわけで、家と職を手っ取り早く手に入れて県外進出するのであれば、工場かリゾートバイトが鉄板ではある。
おら、いやだ。